Cyclamen grower's note
シクラメンができるまで
11月 「タネまき」
11月下旬にシクラメンのタネを蒔きます。
「ん?11月?シクラメンは12月に出荷するのに?」
そうです、シクラメン栽培は仕上げる鉢の大きさにもよりますが(吉沢園芸で生産しているシクラメンは主に6号鉢なので)約13ヵ月かかります。5号鉢でも約11~12ヵ月かかります。
年末にお花屋さんで目にするシクラメンの始まりはこんなにも前からスタートするのです。
また、こんなに小さなタネが1年あまりで、あの大きさのシクラメンになるのもすごいですよね。
さて、「シクラメンはタネから作るんだよ」とお客さんに言うと、「え?球根じゃないの?」とよく聞かれます。
チューリップのような球根植物だと思っている人も少なくないのです。
確かにシクラメンの株元を見ると大きな球根のようなところから花や葉がたくさん出ています。
しかし、実は米粒の半分くらいの大きさ(1~2mm)のタネを蒔くことから始まります。
4月 「植え替えから1ヶ月」
3寸ポットに植え替えしてから1ヶ月が経ちました。
写真は4月頃の様子です。どうですか?少しずつですが大きくなってますよね?
葉の枚数が6~8枚くらいになっています。
STEP 2 に1ヶ月前の写真がありますが、その時の葉枚数は2~4枚です。
「1ヶ月でこれだけ?」って思うかもしれませんが、ベイビーシクラメンは成長が遅いのです。
じっくりじっくり時間をかけて育てます。
苗半作といって、苗の時期にシクラメンの出来の半分が決まってしまいます。いや、半分以上ですね。12月のシクラメンの良し悪しを決める大事な時期なのです。
いましっかり芽を作っておかないと、良い製品にはなりません。
また写真のように途中で枯れてしまうものもたまには出ます。病気を持っていたり、成長が遅れているものや、芽が少ないものなどを日々の観察で選別し、12月の出荷までにいいものだけを残していきます。
4月~随時 「栄養診断」
今日はシクラメンの栄養診断を行います。
シクラメンの根が生活している土の中にはどれだけの栄養分があるか、またシクラメンはどれだけの栄養を吸っているかを調べます。
当園はいつも水をあげるのと同時に肥料(液肥)を混ぜて潅水しています。その肥料をシクラメンがしっかり食べていれば土の中に肥料が残りませんが、食欲不振になっていると土の中にどんどん溜まってしまい、シクラメンは過食症(軟腐病など)になって死んでしまいます。
そこで土の中の肥料濃度(今回は窒素とリン酸)を調べてあげます。
鉢底から出てきた水に、色が変わる試験紙をつけて、機械に読ませます。
すると「〇〇ppm」のように数字で濃度が表示されます。
賢い機械なのです。
今回の結果はちょっとお腹が空いてるかなという感じだったので、次回の潅水はちょっと肥料を濃いめに設定してあげようかなという感じでした。
しかし、数字通りには動いてくれないのがシクラメン。
気温や日照など微妙な環境の変化なども考えながらシクラメンの「顔」を毎日観察して様子を探るほうがよっぽど大切ですね。
8月~随時 「葉組み」
定植して1ヶ月くらいしてくると、シクラメンが暴れ始めます。
シクラメンと言えばもりもりの葉に、花は真ん中に集まり咲いていますよね。
しかしそれは「葉組み」という作業を繰り返すことによって、「人が」作り込んでいるのです。自然のままではなかなかきれいにはなりません。
さてその「葉組み」ですが、字の通り葉を組んでいく訳ですが、、
まず、シクラメンは放っておくと好き放題に葉が出てきます。
これをかっこよく整えてあげるのです。
葉組みの基本は、葉を外側に寄せ、中心に光を当てることです。
これにより中心から新しい葉が出てきます。
中心を開ける→新しい葉がでる→中心をあける→・・・この繰り返しです。
さらに中心を開けるだけだと、元気のいいシクラメンはすぐに葉が戻ってしまいます。
すぐに戻らないようにリングを置いて葉を固定します。
また、下に敷いてあるピカピカの眩しいシートは、下からも貴重な太陽光を当てるためのものです。
吉沢園芸のシクラメンはマッシュルームスタイルです。
葉を下までひっぱりマッシュルームスタイルを作っていくのですが、下になった葉にもピカピカシートのおかげで光をもらうことができます。
この作業を8月から出荷直前まで繰り返し繰り返し何度も行い、品質を上げていきます。
10月中旬くらいになると花芽もだんだんと出てくるので、葉を外側に寄せるだけでなく、花を中心に寄せる作業も加わります。
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